個人評価 3.5(泣ける) 映画.com 3.8 Filmarks 3.7(2017/8/5時点)
監督:熊澤尚人 脚本:まなべゆきこ
キャスト:芳根京子/成瀬順 中島健人/坂上拓実 石井杏奈/仁藤菜月 寛一郎/田崎大樹
先日、アニメ版「心が叫びたがってるんだ」を見ましたが、ついに実写版も見てきたので、感想を書いていきたいと思います。
まずは、映画の前に書きたいことがあります。
来場者がやけに女性が多かったんです。キャーキャーうるさいし、なんだこれはと思ったら、キャストに「ジャニーズ様」がいらっしゃたんですね。うるさかったです。
それにしても、今年は実写版が多いですね。毎年、増えている気がしますねー。(話題変え)
※以下ネタバレが入る可能性がありますので、ご了承の上お読みください。
目次
あらすじ
“目の前の”大切な人”に「好き」と言えない4人の物語。“
高校3年の坂上拓実は、「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。一緒に任命されたのは、おしゃべりが出来ない少女・成瀬順。
彼女は幼い頃、自分の一言で、両親が離婚してしまい、それ以来誰にも心を開かなくなっていた。
その他、優等生の仁藤菜月、野球部の元エース田崎大樹が選ばれた。
実は拓実と菜月は元恋人で、2人は自然消滅した後、お互いに気持ちは確認できずにいた。
担任の思惑で、”ふれ交”の出し物がミュージカルに決定。
「ミュージカルは奇跡が起こる」という一言に、勇気を出した順は詞を書くことを決意し、さらに主役に立候補する。そんな彼女の姿に感化された拓実が曲をつけることに。
順は拓実の優しさに好意を寄せるようになり、菜月は自分の想いを諦め、そして夢を追う順の姿に大樹は好意を寄せ始める。
目の前の人に好きと言えず、すれ違う4人。
そして、舞台当日「やっぱり歌えない」と順は消えてしまい、拓実は順を探しに行く。
しかし、舞台は、主役不在のまま幕をあける…
アニメ版と別作品として見た場合。
引用元:「心が叫びたがってるんだ。」
私は、アニメ版を見てしまっているので、完全に別作品として捉えるのは厳しいかもしれませんが、自分なりに別作品として見た場合の感想を書いてみます。
結論から言いますと、面白いです。
個人的に、キャスティングはもう少し別のがあっただろうとは感じましたが、メインの芳根京子と中島健人は、見終わった後だと、この二人で良かったのかもなぁとか思いました。
いや、やっぱり他にもあっただろう。特に菜月と田崎!ゴホンゴホン
後は、中島健人というジャニーズがいるなぁと、いつも通り捻くれていたのですが、意外とキャラにハマっていたので、良かったです!
また、ストーリーもアニメ版の映画があるので、映画からドラマ、ドラマから映画、ドラマとアニメ…など尺が違うコンテンツになったのとは違い、原作から破綻したような作品にはなっていませんでした。基本的にはアニメ版と同じような流れでお話は進んでいきます。
故に、ここさけ気になってるけど、どっちで見たほうが良いか迷ってる方は、好きなほうで良いと思います。ジャニーズか声優か(ジャニーズへのアタリが強いのはデフォです。
アニメ版との違い。
意外と面白かった実写版「心が叫びたがってるんだ。」ですが、ここで、実写版とアニメ版を見て感じた両者の違いについて、個人的に感じた部分を書いていこうと思います。
玉子の存在
引用元:「心が叫びたがってるんだ。」
さて、アニメ版では物語の大きなキーとなっていた”玉子”ですが、実写版ではどうだったかというと、アニメ番ほどプッシュされていませんでした。
実写版では、”玉子”が話しかけてくることもなく、動くこともなく、神様に奉納されるモノとして扱われていました。アニメ版では、その話は出てくるもののフォーカスされる度合いが大きく違ったかなと思います。これによって、”玉子”による言葉の表現が薄まった感じはしました。
つまり、神物と順の想像上のキャラクターが一緒であり、自分の思い込みによって創造された呪いをかける”玉子”はいなくなり、実写版では、神社の玉子の話を聞いてから、「言葉が出なくなったのはきっとこの玉子のせいなんだ!」という後付けの理由になりました。つまり、言葉が出なくなったきっかけが、少し違うのです。いや大きく違うのです。
個人的には、アニメ版の思い込みから生まれる玉子の方が好きだし、人間の想像力であったり、精神であったりが表現されてるように思います。
より強調されていた”せい”と”おかげ”
アニメ版では、この”せい”と”おかげ”が”玉子”によって表現されていたのですが、その玉子が機能しなくなったことによるものなのか、セリフの中に、やたらと”せい”と”おかげ”が出てきたように感じました。
より感じた人間の複雑な感情
ここさけでは、多くの登場人物が、自分の”口に出していること”と”本当に思っていること”の違い、”していること”と”本当に思っていること”の違いに悩まされます。
この部分がアニメ版より実写版の方が少しだけ大きく描かれているなと感じました。例えば、野球部の田崎の後輩、山路 一春が実写版とアニメ版では異なる行動や言動を行うので、そこは注目です。
ラストの違い
引用元:「心が叫びたがってるんだ。」
そして、大きく違ったのがラストです。アニメ版ではミュージカルが終わった後に、それぞれが自分の”本当に伝えたかったこと”を伝えたい人に伝える流れになります。しかし、実写版ではミュージカルで物語は終わってしまいます。
さて、ここで疑問なのが、実写版では田崎は順のことを好きにならないのか?拓実と菜月は仲直りするのか?ですが、両方ちゃんと解決します。
実写版では、アニメ版より田崎が順のことを好きな描写が多く出ます。拓実と菜月の関係はそんなに変わらないです。そして、ED後に、全員が屋上で”伝えたい人に伝えたいことを叫ぶ”のです。故に、ここでこの全てを解決しちゃうという、まぁ強引と言えば強引な終わらせ方でした。
これは、体感ですが、実写版のほうがミュージカルを大きく強調した流れだったからと思われます。ミュージカルに力を入れたため、ミュージカルできっちり終わったほうが良いと判断したのでしょう。
ミュージカルシーン
引用元:「心が叫びたがってるんだ。」
実写版では、アニメ版よりミュージカルシーンが濃く感じました。実際に尺が長かったかどうかは分かりませんが…
ラストは、アニメ版同様、ミュージカルによって、人間の中に同時に存在する正反対とも言える想いを表現していました。
そして、中島健人の本業って、やっぱアイドルなんだな。アイドルって一応、歌上手いんだな。って思いました。
多分、この中島健人をプッシュするためのシーンでもあり、映画の重要なシーンでもあるため、中島健人は適役だったと言えるでしょう。
そして、やっぱりミュージカルって素敵だなと思いました。さて、今度四季でも見に行くか…
まとめ
実写版も実写版で面白かったです。アニメ版と比較すると、少しオーバーに主題を表現していた面もありますが、それは玉子の消失によるものだと思い込んでおきます。
たしかに、実写版のクソみたいなCGで玉子を出されていたら、クソ映画になっていたでしょう。人間の想像力であったり、心の中の表現であったりは、アニメの方が未だに有利な面があるなと感じました。しかし、実写は実写でリアルな面があり、アニメよりも没入できる面があるのかなとも感じました。
つまるところ、実写とアニメ、それぞれの良さを再確認できた良い映画でした。
人それぞれかとは思いますが、実写版「心が叫びたがってるんだ。」単体で見れば良い映画だったのではないかと思います。
個人的には、アニメ版の方が好きでしたが、実写版も見て損はしないと思いますので、是非、見てみて下さい!
良ければ、先日書いた、アニメ版「心が叫びたがってるんだ。」も一読していただけると嬉しいです。